動物のなかで言葉をもつのは人間だけ。鳥は感情だけで動いている。古代ギリシャ時代のアリストテレス以来の定説とされてきた考え方に、著者は真っ向から異を唱えます。シジュウカラの鳴き声と行動を地道に観察することで辿りついた結論は、鳥は言葉を操るということ。
5キロの米だけを糧に軽井沢の森に数か月間こもって観察を続け、ついには、世界の学術界で認められる成果をあげるまでの道のりが、面白おかしく、そして平易な文章で描かれます。好きこそものの上手なれの言葉どおり、鳥の観察が楽しくてたまらないということが伝わってきました。
あのドリトル先生のように、著者が他の動物とも言葉を交わすときがくるのではないか。そんな期待を抱いてしまう楽しい読書体験でした。