他の従業員を含め、長期間リモートワークによる勤務が認められていたにもかかわらず、会社から突然出社を命じられたとします。従業員が、出社命令を拒否しリモートワークを続けた場合、会社に賃金の支払を求めることはできるでしょうか。民法536条2項によれば、会社の「責めに帰すべき事由により」従業員が勤務することができなくなった場合、賃金請求が認められます。
東京地裁令和4年11月16日判決(判例タイムズ1527号197頁)は、冒頭のような事例で、従業員と会社間でトラブルが生じた結果、出社命令が出されたものの、出社させることに業務上の必要性はなかったとして、従業員の賃金請求を認めました。
会社の立場からすると、従業員が実際に勤務しなかった場合でも、そのことについて会社に帰責事由があれば、賃金を支払わなければなりません。また、民法526条2項の帰責事由がなくても、労働基準法26条により、平均賃金の60%にあたる休業手当の支払が求められる場合があります。近年相次ぐ自然災害などで従業員が勤務できなくなった場合、会社側に帰責事由が認められるのか、個別の事情に応じて判断する必要があります。