児童相談所による一時保護・面会制限の違法性

子どもが親から虐待を受けているおそれがある場合などにおいて、児童相談所は、2か月を超えない期間、子どもを一時的に保護し親から隔離することができます。2か月を超えて保護する必要性が認められると家庭裁判所が承認した場合には、期間が延長されることもあります。近年、児童相談所が必要を超えて一時保護を続け、その間、親が子どもと面会できなくなるという問題事例が起きています。

母親が自宅で生後1か月半の子どもを手で抱いた状態でグラスを取ろうとして、子どもをフローリングの床に落としてしまい両側頭頂骨が骨折する事故が起き、児童相談所が一時保護を8か月間継続し、その間親子の面会が制限された事案がありました。大阪地裁令和4年3月24日判決(判例タイムズ1506号129頁)は、1か月を超えて一時保護を継続したことと、その間面会を制限したことは、いずれも違法だとしました。

児童相談所は、2か月を超える一時保護の必要性に関する家庭裁判所の審判において、虐待の可能性が考えられるという鑑定書の信用性について再検討を行うことを求められていたにもかかわらず、再検討を行いませんでした。判決は、以上の事実をもとに児童相談所の措置を違法とし、親の国家賠償請求の一部、慰謝料100万円を認容しました。