宇田川敦史『アルゴリズム・AIを疑う 誰がブラックボックスをつくるのか』

アルゴリズムの本質は、誰がやっても同じ答えにたどり着くこと。料理レシピなど分かりやすいたとえでアルゴリズムの説明がされた後、普段何気なく使うデジタル・メディアがいかにブラックボックス化されているかという問題が提起されます。

私たちは、デジタル・メディアによって得られる検索結果などの情報にアテンション(注目)を向けるあまり、特定の意見が極端化・増幅化するエコーチェンバー現象や偽情報の拡散など、アルゴリズムの複雑化がもたらす問題に気づきにくくなっています。

大事なのは、情報を伝達するメディアの機能や役割を批判的に吟味する「メディアリテラシー」であって、情報リテラシー(情報の真偽を見極める)あるいは保護主義(SNSの情報には接しないようにする)によっては、メディアリテラシーは育まれない。大量の情報に接する中での当たり前が揺さぶられ、「メディア」について深く考えるきっかけを与えてくれる一冊です。