松沢裕作『歴史学はこう考える』

歴史家が論文を書くとき、どのようなプロセスで論を組み立てているのか。根拠となる史料はどのように位置づけられるのか。政治史、経済史、社会史の各分野の論文を分析しながら考察が進められます。

ある時点において文書(史料)が作成されたとき、書き手は、当時、誰に対して何を伝えようとしていたのか。事実の報告か、要望か、あるいは約束なのか。この点に注意を向けることは、歴史学の研究にとどまらず、私たちが日々情報に接する際にも重要なことです。

著者は「この本が、私たちが生きていくうえで、『まともに言葉を交わしあう』ための基盤を形成することに、いささかなりとも寄与することができれば」と述べています。書名は「歴史学」を冠していますが、歴史学を専門としない読者が手にとるべき本だと思います。