消費者契約法に違反する違約金条項

大学受験予備校の受講生が、予備校に無断で教材をネット上のフリーマーケットに出品して一部を譲渡しました。予備校の規約によれば、許諾を得ずに教材を第三者に譲渡してはならず、違反した場合は500万円(または受講料の10倍相当額)の違約金を支払わなければならないという条項が定められていました。予備校は、違約金条項に基づき受講生に500万円の支払を求めました。

1審東京地裁判決は、全額を支払わせるのは公序良俗に反するとして100万円の限度で予備校の請求を認めました。これに対し、東京高裁令和4年11月10日判決(判例タイムズ1520号50頁)は、5万円のみを認め、それを超える部分は無効としました。

控訴審判決が違約金条項を無効とした根拠は、消費者契約法第10条。消費者の権利を制限し又は消費者の義務を過重し、消費者の利益を一方的に害する条項は無効とすると定められています。判決は、受講料をはるかに超える違約金を一律に受講生に負担させるのは過酷である一方、教材が第三者に譲渡されたとしても予備校に多額の損害が発生するとまでは認められないとして、5万円を超える違約金条項は無効と判断しました。