火災保険の免責事由

火災保険がかけられた建物が火事で焼失した場合、保険契約に基づいて保険金が支払われます。しかし、保険契約者が保険金を取得する目的で故意に放火したような場合、保険金は支払われません。保険契約者又は被保険者の故意または重大な過失によって生じた損害に対しては保険金を支払わないという免責事由が定められているからです(保険法17条1項)。

大阪地裁平成31年3月27日判決(判例タイムズ1494号209頁)の事案では、放火によって焼失した建物の保険金について、保険会社が、①第三者による侵入の可能性が低い、②火災発生前の契約者の言動が不自然である、③契約者に保険金を詐取する動機がある、と主張して保険金の支払を拒否しました。

これに対し上記判決は、契約者は火元である1階の上の2階で救助され受傷も軽微なものではない、警察から放火犯として疑われていない、放火という重大犯罪に及ぶほど経済的に困窮していたわけではない、などの理由から、保険会社による免責の主張を認めず、保険金の支払を命じました。