犯罪被害者の被害回復について

犯罪被害を受けた被害者は加害者に対して損害賠償を請求できます。損害賠償の支払を命じる判決が確定したにもかかわらず、加害者が賠償に応じることなく刑務所に収容された場合、被害者は、加害者(受刑者)が刑務所での作業によって国から支払を受ける作業報奨金を差し押さえることができるでしょうか。

最高裁令和4年8月16日判決(判例タイムズ1504号30頁)は、作業報奨金に対する差押えは認められないと判断しました。差押えを認めると、「作業を奨励して受刑者の勤労意欲を高めるとともに受刑者の釈放後の当座の生活費等に充てる資金を確保すること等を通じて、受刑者の改善更生及び円滑な社会復帰に資する」という、作業報奨金についての刑事収容施設法の目的を達することができないからです。

故意の犯罪行為により生命または身体を害された被害者や遺族に対して、犯罪被害者等給付金が支給される制度が用意されていますが、これによる被害補償だけでは十分な損害回復が図られないとの指摘があります。犯罪被害者の誰もが等しく充実した支援を受けられる社会の実現が望まれます。