離婚した元妻が、養育費の支払をしない元夫の給与の2分の1を差押えたところ、元夫が差押えの取消しを求めました。元夫は生活保護費を受給しており、最低生活費から給与収入を差し引いた額が生活保護費とされることから、給与を差し押さえられると生活に著しい支障が生じるというのが、元夫の言い分です。
大阪地裁令和6年8月23日決定(判例タイムズ1529号188頁)は、まず、元夫の給与収入は実質的に生活保護費に相当するものであり、特段の事情のない限り全部取り消されるとの一般論を述べました。その上で、嗜好品や娯楽の支出を抑えることで継続的に養育費の支払に充てる金額を捻出することは可能だとして、特段の事情を認め、差押範囲を2分の1から5分の1に変更しました。
生活保護受給者の生活保障を図る必要がある一方、子を監護養育する者の生活にも配慮しなければならず、双方の利害を調整した事例判断と思われます。