37人の部下を擁する営業管理職部長(チームリーダー)の地位にあった女性従業員が、出産に際して産前産後休業、育児休業を取得しました。その後復職したところ、組織変更によりチームは解散となり、専ら電話営業に従事させられ、人事評価においてもリーダーシップ項目を最低の評価とされました。
女性が会社に対し、人事権の濫用を理由に損害賠償を求めたところ、第一審は請求を認めませんでしたが、控訴審東京高裁令和5年4月27日判決(判例タイムズ1523号129頁)は、女性の請求を一部認めました。
上記判決は「基本給や手当等の面において直ちに経済的な不利益を伴わない配置の変更であっても、業務の内容面において質が著しく低下し、将来のキャリア形成に影響を及ぼしかねないものについては、労働者に不利な影響をもたらす処遇に当たる」とした上で、収入の減少はなくても、一人の部下もつけずに電話営業を主体とする新規販路の開拓業務を担当させる配置転換を、不利益な取扱いにあたると判断しました。