運賃着服を理由とする退職金不支給処分

市営バスの運転手が、運賃(約1000円)の着服、運転席における電子たばこの使用という非違行為を理由に、懲戒免職とともに退職金約1200万円を全部支給しない処分を受けました。

原審大阪高裁判決は、全部不支給処分は非違行為の程度及び内容に比して酷に過ぎるとして処分取消を認めました。これに対し最高裁令和7年4月17日判決(判例タイムズ1538号23頁)は、着服行為は自動車運送事業の運営の適正を害するのみならず同事業に対する信頼を大きく損なう、着服発覚後の上司との面談の際に当初は着服行為を否認しようとするなど態度が誠実でなかった、などとして、全部不支給処分は相当であると判断しました。

以前、飲酒運転の事案において退職金不支給処分を相当と判断した最高裁判決を紹介しました(2023年12月28日コラム)。今回も、金額が多額ではなくても、運賃の着服自体がバス事業に及ぼす影響を重く見た最高裁判決だといえます。