SNS上での名誉権侵害

空手道場を経営する原告が、同じく空手道場を経営する被告に対し、フェイスブック上の投稿によって名誉権を侵害され、営業上の信用を害する虚偽の事実を流布されたとして、損害賠償請求をしました。これに対し被告は、投稿をみた不特定多数の者が、その投稿が原告に関する投稿であると認識することはできないと反論しました。

東京地裁令和6年7月18日判決(判例タイムズ1534号237頁)は、「被告のフェイスブックには、他の流派の空手関係者を含む多数のフォロワーがおり、その中には、Fや原告と面識がある者も複数人含まれて」おり、「本件道場の指導員をも務めていたFの際立った活躍ぶりに照らしても、本件各投稿の閲覧者には、原告と面識がある又は原告がFの所属していた道場の道場主であるという知識を有する者が多数存在した」(「F」は原告の空手道場の所属する者)として、被告の反論を斥けました。

SNSの投稿で実名を挙げなくても、投稿を閲覧する者の中にその人物だと特定できる人がいるのであれば、その人物の名誉権を侵害したと認められる可能性があります。SNSで投稿する際には、この点に十分注意する必要があります。