日本で初めての「ろう理容師」を祖父にもつ主人公が、その妻(祖母)や子(伯母)を訪ね祖父の半生を小説に書こうと奮闘する、実話に基づいたフィクションです。聴覚障害をもつ人たちがいかに社会から隔絶され、ひどい仕打ちを受けてきたか。その事実を前にひるみ、悩みながらも、祖父の物語を書きたい。主人公、作者の強い思いが伝わってきます。
祖父とともに苦難の人生を歩んできた、おなじくろう者の祖母が、車いすに乗りながら阿波踊りに参加する場面が最後に描かれます。音のない世界でも、みんな一緒に手をとりあって楽しく踊ることができる。聴覚という壁をこえた、共生のあるべき姿を感じました。
