岡真理ほか『中学生から知りたいパレスチナのこと』

アラブ文学、現代史、ポーランド史を専門とする三名の研究者(岡真理、藤原辰史、小山哲)が、パレスチナ問題について語ります。

イスラエルがパレスチナ人に対して行使している暴力は、日本を含め世界の植民地主義国家が、自由や独立を求める被植民者の抵抗に対して行使してきた殲滅の暴力である。岡の指摘に続き、藤原は、ドイツはナチスのホロコーストを唯一無二の悪だと考えるあまり、パレスチナでのイスラエルの暴力に目を背けていると批判します。小山によれば、ウクライナやポーランドでのユダヤ人迫害は、シオニズム(ユダヤ人国家建設運動)につながっている。これら東欧二国も、実はイスラエル同様、祖国のない状況に立ち向かう国民を鼓舞する国歌をもつというのは興味深い指摘でした。

普段接する報道では気づくことのできない事実や歴史に、中学生だけでなく私たち大人も、目を向けていかなければなりません。